新潟のショク(食・職)文化を街へ、世界へ発信!駅から始まる『新潟駅Nプロジェクト』の挑戦【JR東日本新潟支社「地域連携×日本酒」シリーズ②】 - CITY UP!

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新潟のショク(食・職)文化を街へ、世界へ発信!駅から始まる『新潟駅Nプロジェクト』の挑戦【JR東日本新潟支社「地域連携×日本酒」シリーズ②】

2019年10月18日

JR新潟駅周辺では現在、周辺道路や駅前広場の整備など大規模な再開発事業が進められています。JR東日本新潟支社では2018年4月、一部在来線の駅高架化と共に、食文化発信拠点施設『CoCoLo 西 N+(ココロニシエヌプラス)』を開業。同施設開業を契機に『新潟駅Nプロジェクト』を始動し、新潟のショク(食・職)の担い手と連携した“駅から始まるまちづくり”に取り組んでいます。

今回は『新潟駅Nプロジェクト』のメンバーとして、駅の開発や地域との連携、国内外への情報発信を行なうJR東日本新潟支社の小山敦士さん、新潟駅西側エリアで3店舗を展開する『ぽんしゅ館』上野由夏里さんに、地域の魅力を駅ナカから発信する意義や具体的な取り組み、展望など多岐にわたって話を聞きました。

 

新潟駅ナカが目指すのは“本州日本海側最大の都市の玄関口”にふさわしい空間

「駅や線路によって、街が北側と南側に分断されている」「踏切によって渋滞が起こる」――新潟駅周辺地区のこうした長年の課題を解消すべく、長期間にわたり進められている再開発。特に駅付近の連続立体交差事業は、街の回遊性を向上させるための重要施策とされています。
在来線の一部の線路が高架化され、上越新幹線と同一ホーム乗り換えが可能になった2018年4月。駅西側エリアの利便性をより向上すべく、誕生したのが『CoCoLo 西 N+』でした。

JR東日本新潟支社で『新潟駅Nプロジェクト』の推進役を担う小山敦士さんは、この施設がつくられた背景についてこう語ります。

JR東日本旅客鉄道株式会社 新潟支社 営業部事業課 小山敦士(こやまあつし)さん

 

「新潟は日本海側において本州最大の都市。新潟駅は1日約4万人が利用し、うち1万人が新幹線の乗車客です。陸の玄関口として『ふさわしいものは何か』『必要なものは何か』を念頭に置き、駅西側の構成を考えました。
そうして完成したのが新潟の食文化や培われたものづくり、つまり食と職にじっくり触れられる『CoCoLo 西 N+』でした。施設内にカフェをオープンさせたのも、利便性を高めるポイント。これまで新潟駅には休憩できるスペースが少なかったんです」(小山さん)

駅の西側にはもともと『JR東日本ホテルメッツ新潟』が開業した2013年より、『CoCoLo 西館』として日本酒ミュージアム『ぽんしゅ館』や新潟の食が楽しめるレストラン『魚沼釜蔵』がありました。2018年4月に新しく『CoCoLo 西 N+』がオープンし、もともと観光客に人気だった西エリア一体がより活気づきました。同施設は、コンセプトの違う2店舗の『ぽんしゅ館』や地元で愛されるベーカリー、日常づかいのカフェなどで構成されています。

JR新潟駅構内にある『ぽんしゅ館 利き酒ミュージアム』外観。入口の“酔っ払い人形が目印。

実は『ぽんしゅ館』は、JR東日本新潟支社と非常に縁のある店舗。これまで20年以上にわたりタッグを組み、上越新幹線の主要3駅を盛り上げてきました。

 

利き酒ミュージアム『ぽんしゅ館』は、越後の食文化を色濃く伝える発信地

1995年、越後湯沢駅構内に誕生した『ぽんしゅ館』1号店。新潟県内の全蔵元から厳選した250種類以上の日本酒を買えるだけでなく“利き酒もできる”場所として話題を呼びました。現在では観光客が多く立ち寄る、人気のスポットとなっています。

『ぽんしゅ館』名物の利き酒スペース。500円で販売されているメダル5枚で、5銘柄の利き酒が可能。

 

「『ぽんしゅ館』オープン当時はまだ“駅ナカ”という言葉など存在しない時代。オープン前には『駅構内でこんな新業態のお店が受け入れられるのか』という反対の声もあったようですが、ふたを開けてみたら大ヒット。その後の“駅ナカブーム”のはしりとなりました。
私たちJR東日本新潟支社と『ぽんしゅ館』との連携はそこからスタートしたんです」(小山さん)

2013年には新潟駅に、2017年には長岡駅にそれぞれオープンした『ぽんしゅ館』。越後湯沢駅同様、駅ナカに賑わいを創出しています。新潟驛店のオープン以来、酒部店長を務める上野由夏里さんは、新潟の銘酒や名産品が味わえる店がつくられた背景についてこう話します。

『ぽんしゅ館』新潟驛店 酒部店長 上野由夏里(うえのゆかり)さん

 

「新潟の人は、地元の良いところを自分からは言わない。要するに“自慢下手”なんですよね。それを180度ひっくり返すべく、『越後新潟が他県に一番誇れるものは、お酒とお米。だからもっと他県に自慢しようよ、アピールしようよ』というメッセージを込めて開店したのが『ぽんしゅ館』だったと聞いています。実際、1号店である越後湯沢驛店は、お米販売と利き酒から始まったようです」(上野さん)

現在『ぽんしゅ館』では、新潟の専門食品店として、日本酒やおにぎりのほかに、県内産のワイン、ビール、お菓子、惣菜や漬物、南魚沼産コシヒカリなどの幅広い商品を販売。塩・味噌・醤油などの調味料も展開し、いにしえから残る越後の発酵文化も伝えています。

越後の食文化を伝える重要な発信地『ぽんしゅ館』。JR東日本新潟支社は新潟駅の再開発において欠かせないキーテナントだと考えたのです。

 

『CoCoLo 西 N+』で3種3様の『ぽんしゅ館』を展開する意義

新潟駅構内の観光スポットとして定着している『ぽんしゅ館』は、『CoCoLo 西 N+』の開業を機に『ぽんしゅ館利き酒ミュージアム』の他に『ぽんしゅ館コンプレックス』と『ぽんしゅ館クラフトマンシップ』を新規オープン。3種3様のコンセプトを掲げています。

「『CoCoLo 西 N+』のテーマは“新潟のショク(食・職)の発信”。ですから食以外の職、つまりものづくりにスポットを当てた『ぽんしゅ館クラフトマンシップ』を新しい業態としてオープンさせました。燕三条など県内で生産された刃物・金物や洋食器、ガラス工芸品など、選りすぐりの品々を扱っています。もちろん徳利やおちょこもあります。
一方の『ぽんしゅ館コンプレックス』は、お米やおにぎり、おかきなどの販売のほかに、お惣菜をつまみに“新幹線に乗る前の一寸一杯”ができる角打ちスペースを設けました。一品一品じっくり選びながら味わう利き酒とはまた違った楽しみがあるかと」(上野さん)

『ぽんしゅ館』では、JR東日本新潟支社が手掛けた『新潟しゅぽっぽ』を販売。
鮮やかな色合いと、旅を彷彿とさせる切符のデザインが目を引く。

 

上野さんは新潟市の出身。東京の飲食店で勤務した後、『ぽんしゅ館』新潟驛店のオープニングと共にUターンしました。「県産の日本酒や食材、ものづくりはすべて『新潟の誇り』であり、その誇りを持って、お客様のニーズに合った逸品を薦めていきたい」と力を込める一方で、以前はあまり新潟愛を持ち合わせていなかったとか。

「唎酒師や酒匠(さかしょう)の資格を取ろうと思ったのも、新潟出身であることとは一切関係なく、勤務先で日本酒の説明をする時に“分かりやすく表現するための知識”が欲しかったから。でもその勉強がきっかけとなって、改めて地元のお酒の美味しさに気づくことができたんです」(上野さん)

いつか帰って、日本酒に関わる仕事がしたい――そう思っていた矢先に舞い込んだ『ぽんしゅ館』勤務の話。新潟に戻り6年経った現在、上野さんは地元の日本酒コミュニティに参加するなど、お店以外の場所でも情報発信や仲間との交流を重ねています。

「『ぽんしゅ館』で今後目指していきたいのは“日本酒の観光案内所”となること。この場所を旅の起点にしてもらい、利き酒をしながら行先を決めてもらいたい。そんな空間となれるよう、旅先案内人としての腕も磨いていきたいです」(上野さん)

 

地域だけでなく、海外での訪日旅行イベントも積極的に。
多角的な日本酒文化の発信を目指す

『新潟駅Nプロジェクト』の活動は、駅周辺の再開発や駅ナカからの情報発信に留まりません。多くの人に新潟に足を運んでもらうべく、日本酒に絡めたイベントを各地で開催しています。JR東日本新潟支社として特に力を入れているのが、インバウンド施策。東京・大阪・京都・北海道に次ぐ観光地を目指すものの、なかなか及ばず。スキー場のある越後湯沢駅までは来ても、新潟駅まで足を延ばす動機が乏しく、その客足は伸び悩んでいます。

「新潟の存在を印象深く伝えていくためにも、日本酒は欠かせない観光資源。数々の銘酒を携え、海外で訪日旅行向けイベントを行なっています。
今年8月は、シンガポールで新潟をテーマにしたイベントを開催しました。JR東日本グループが運営する『JAPAN RAIL CAFE』が主催する“NATSU CAMP FEST”のイベントに参加する形で、日本酒を振舞ったり、VRを使ってスキー体験をしてもらったり。4日間で多くのお客さまにご来場いただきPRできました。
近年、世界的なSAKEブームが巻き起こってはいるものの、外国で人気を博しているのは他県のものが中心です。新潟が日本随一の酒どころであることを伝え、実際に味わってもらうことが現地に足を運んでもらうための第一歩だと考えています」(小山さん)

2019年8月に実施されたシンガポールでの新潟プロモーションの様子。
10銘柄におよぶ新潟清酒の試飲コーナーに、足を止める来場客が多かった。

 

その一方で、地域での日本酒イベントも積極的に行なっています。恒例となった酒米の田植えや稲刈りのほか、駅を会場にした数々のイベントを開催してきました。

「新津駅や柏崎駅で開催された、“大人も子どもも楽しめる縁日”『ぷらっとホームBAR』では、日本酒『新潟しゅぽっぽ』に絡めたコーナーを設け、「4蔵飲み比べセット」の販売も行ないました。この商品は、JR東日本新潟支社が酒米づくりから販売まで関わり、県内4つの酒蔵とともに開発した日本酒です。イベント当日は酒蔵の関係者や鉄道芸人にも登壇してもらい、会場は大いに盛り上がりました」(小山さん)

『ぷらっとホームBAR at柏崎駅』では、日本酒『新潟しゅぽっぽ』を囲んだ
トークセッションや名産品を販売。多くのお客様で賑わった。

 

日本酒文化を通じて、新潟の魅力を国内外に発信している小山さんは、千葉県の出身。首都圏での駅ナカ開発やホテル事業に関わったのち、2017年10月、JR東日本新潟支社に勤務となりました。

「生産者、シェフ、販売店など、この地で日本酒や食、職に関わる人はたくさんいらっしゃいます。その人たちと多く知り合い、連携して、本質的な地域活性化につながる取り組みを行なっていきたい。そして新潟の交流人口を増やしていきたいです」(小山さん)

駅周辺整備事業により、生まれ変わる新潟駅を起点とした『新潟駅Nプロジェクト』。新潟ならではの地域の魅力発信が、今後ますます期待されます。